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大阪センチュリー交響楽団
「21世紀の第九」 in 2002

日時
2002年12月30日(月)午後4:00開演
場所
ザ・シンフォニーホール
演奏
大阪センチュリー交響楽団/京都バッハアカデミー合唱団
独唱
浜田理恵(S)/中島郁子(A)/吉田浩之(T)/小森輝彦(Br)
指揮
佐渡裕
曲目
ベートーベン…交響曲第9番 ニ長調「合唱」
座席
1階G列20番

はじめに

 朝比奈隆の第9と入れ替わるように今年から29・30日の2日公演となった佐渡裕&大阪センチュリーの第9ですが、会場内に足を踏み入れると補助席が出されるほどの大盛況で、客席はほぼ満員のように見受けられました。
 また佐渡さんはこのほど新日本フィルと第9のCDを出したばかりで、この日もロビーには「特性タオル付き」と張り紙がされて、大量にそのCDが並べられていました。今までバースタインの交響曲第3番「カディッシュ」を除くと小品集が多かった佐渡さんにとっては初の本格シンフォニー録音でしたが、期待通りの熱い演奏で非常に満足のいくCDでした。
 さて2日公演の2日目と言うことで、今日は初日に燃え尽きてしまった残骸なのか、それともさらに練り込んだ表現になっているのか、ドキドキしながら演奏開始を待ちました。

ベートーベン…交響曲第9番

 深林の霧のようなトレモロから第1主題が提示される時のその爆発力に鳥肌が立ちました。今までのセンチュリーからは決して聞かれなかった気迫と大音量に完全に呑み込まれてしまいました。
 総ての楽章に言えますが、全体に早いテンポが採られ、曲が進むにつれ次々と山場が訪れる劇的な演奏で、息を吐く暇さえ与えないものでした。
 オケとコーラスは佐渡さんの指揮に全幅の信頼を寄せ、佐渡さんの棒に鋭い反応をして、がっちりと音楽を形作っていました。また全曲の最後まで一切緩むことのない集中力とそれを支える確かな技量も大変素晴らしいものでした。

 新日フィルとのCDと比較すると、基本的なアプローチは同じですが、透明で広がりを持つ新日に対して、今日のセンチュリーは中音部にやや厚みのある凝縮された響きのイメージがありました。音楽の燃焼度から言うと今日のセンチュリーの方が上でした。

 合唱も最初からパワー全開で、難しい箇所も難なく乗り切っていくその自信に溢れる歌いっぷりは大変素晴らしく、声量もステージ上に見える人数以上の充実さがあり、シンフォニーホール全体を震わせるように響き渡りました。
 一方独唱陣もコーラスに負けない立派な歌唱を聞かせ、4人の声質が似ているのか非常にまとまりの良いアンサンブルは心地よいアクセントとなっていました。

 もともと高かったテンションが終楽章になって合唱が入るとさらにヒートアップしました。
 佐渡さんは両手をがばっと広げたり、しゃがみ込むほど身を屈めてステージを牽引します。それまで足を踏み鳴らしたり、息を「スッ!」と吸ったりしていましたが、合唱の2重フーガになるとついにうなり声を上げてオケと一緒に歌い出してしまいした。そして余りに激しいアクションのため「ポキン」と音を立てて指揮棒が折れると、佐渡さんは指揮棒の握りの部分を床に捨て、それ以後はタクトなしで指揮を行いました。
 けしからん演奏だと、合唱が入ると急にオーケストラがおとなしくなりますが、今日のセンチュリーは逆にガンガンと合唱団を引っ張り、コーラスに負けないくらいの音量を出していました。
 コーダに突入してもテンションの上昇は留まることを知らず、会場は熱狂に包まれていきました。そして最後のプレスティッシモでは狂ったようにオケが爆発して、まばゆいばかりにこの大交響曲が締めくくられました。

ガッツポーズ

 最後の音が鳴り渡ると、堪えきれないかのような拍手と歓声が爆発し、佐渡さんは両のこぶしを突き上げてガッツポーズを取りました。
 会心の演奏であるのは間違いないようで、それはオケやコーラスの面々の晴れ晴れとした顔や紅潮した顔からもはっきりと分かりました。
 何度もステージに呼び出される指揮者やソリスト達に送られる拍手に衰えることはありませんでした。

おわりに

 今日の演奏は「ホントに2管編成のオケか?」「ホントに100名ほどのコーラスか?」と疑いたくなるようなエネルギーで、その圧倒的な力強さに完全に打ちのめされてしまいました。昨日といい今日といい今年の第9は凄まじいほどの当たり年でした。(あれ? 先週もなんかあったっけ?) ぜひとも来年以降もこの水準をキープしてくれることを切に希望します。
 この演奏、CDで出せば充分売り物になると思いますので、楽団の自費出版でも良いからなんとか日の目を見せてやりたいと思いました。(楽団の記録用として録音してあるはず)

 総じて、命がけと言っても良い位のパワーに圧倒された演奏会でした。

 さて次回は、まだ確定はしていませんがたぶん奈良交響楽団のシューマン&マーラーの交響曲第4番です。地元だからと言うことを抜きにしてもなかなか関心を持たされるプログラムですので、非常に楽しみにしています。


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