今回の演奏会はインターネットで問い合わせを行いましたが、楽団の方のご厚意によりチケットを送付してもらいました。
ところが私の不徳の致すところで、それが招待券だということに受付をくぐるまでまったく気が付きませんでした。少し申し訳ない気分になりつつ会場に足を踏み入れました。
と、言うわけで今回は提灯ならず、でっかいアドバルーンを揚げたいと思いますので、以下の文面がヨイショするようなものになっていてもその辺りはご容赦下さい(笑)。
さてギリギリに会場へと到着したので座席前方の中央は粗方席を取られていました。それはそれで構わないのですが、手荷物を左右の席にドッカと乗せてふんぞり返っている野郎がいたのが気に障った。確かにこの演奏会は全席自由だが、全席あなたの自由にしていい訳では全くないのでその辺り勘違いするな、田舎モン。
あといつまでも静かにならない客も少し気になりました。でもかなりの数いたガキンチョがまあ静かにしてくれていたのが救いでした。
ホールの音響について別に述べることはありません。どこにでもある多目的ホールといった所です。響きがこもったりデッドだったりすることはないので、普通のホールだと思います。
そうこうしている内に開演のアナウンスがあり、楽員の方が次々とステージに現れました。
人の良さそうなアンチャン(でも44才)が登場して1曲目が始められた。
この曲はシベリウス初期の作品で、ほとんど演奏されない珍しい曲だ。冒頭からぶわっと膨らむような暖かい空気に満ちて、春の喜びに溢れた曲だ。この頃のシベリウスらしいグッとくる旋律も随所に聞くことができてとても楽しい。頂点で輝かしく打ち鳴らされるチューブラベルが決定的な印象を与える。
弦楽器で驚いたことは第2Vnが右に行く、対向配置になっていたことだ。またヴァイオリンが第1、第2とも6プルトいたことにも驚いた。(もうちょっと音量が出れば良いのですが)
またアマオケには珍しく低音がしっかりとしていて腰の据わった音をしていたことも挙げられる。コントラバスの鳴りが今一つだったので、チェロがしっかりしていたのだろう。またあの配置ではやりにくいとは思うが、第2Vnも頑張ってね。
しかしこの曲の持つ魅力を充分に出せた演奏は大変良いものだった。
指揮者の方もオーソドックスで素直な指揮をして堅実なまとめ方をしていた。
第1曲 羊飼いの少年
第2曲 ノルウェー農民の行進曲
第3曲 夜想曲
第4曲 こびとの行進
この曲は各楽器の音色を生かした薄目のオーケストレーションをしているため、個々のプレイヤーが奏でる音がとても重要となるが、今回の演奏はやや不満の残るものとなった。もっと存分に旋律を歌っても良いのにと思った。
20分の休憩を挟み後半が始められた。この曲は木管が重要なメロディを奏でて行くが、休憩前とは打って変わってピシッと一本筋の通った木管陣のアンサンブルが緊張感ある旋律を歌った。これにより一気にシベリウスの世界に浸ることができた。
また第1Vnの出来が素晴らしく、音符ひとつひとつに意味を込めた演奏はこの作曲家への愛情と大変な練習量をこなした跡が感じられた。金管も決め所できちんと決めて大健闘だった。とは言っても終楽章でVnがppで分奏する所はハラハラしてしまったが。(あんな所で譜面をめくるのですか?)
構成で特徴的だったのは普通は爆走する第1楽章のコーダであまりアッチェレランドが掛からなかったこと(技術的にそれは難しかったのかも)と、第2楽章から第3楽章へ間髪入れずに継いだことが挙げられる。
最後は素晴らしい集中力で全員が一丸となりクライマックスを形作るのに成功していた。正直言ってここまでのものが聞けるとは思っていなかっただけに、非常に感激してしまった。
ひとりバカでかい音で拍手をしていたような気がしますが、今日の演奏に見合ったものだと思います。心を込めて拍手させてもらいました。
やがてアンコールが掛かりましたが、その前に指揮者の藏野さんによるお礼と曲の説明がありました。
これも弦が良く歌っていてとても良い演奏でした。
拍手が止みかけたのでオケが解散しようとコンミスが腰を上げた所に藏野さんが答礼に現れるという微笑ましいシーンもありましたが、演奏会の幕も成功のうちに閉じられました。
アドバルーンになってました?
総じて、シベリウスを聞くことが出来て非常に満足した演奏会でした。
今日の奈良交響楽団はWebページを(非公式ですが)開設しております。ここで定期公演の問い合わせを受け付けて下さいますので、興味ある方はぜひご訪問下さい。
ちなみに次回(第39回定期演奏会)は
2001年6月3日(日)13:30 奈良県文化会館国際ホール
指揮:辻俊彦 マリンバ独奏:前川典子
・グラズノフ…祝典序曲
・コッペル…マリンバとオーケストラのための協奏曲
・シューマン…交響曲第2番
です。なかなかくすぐられるプログラムでしょ?
さて、次回は京都で京都フィロムジカ管弦楽団の演奏会です。ネコケンのマーラーが非常に楽しみであります。