今日の演奏会で指揮をする金子健志(ネコケン)さんは音楽評論家として有名です。私もこの人の“こだわり派のための名曲徹底分析”シリーズをいつも楽しみに読んでいます。その金子さんが指揮者として関西に来るというので、京都まで足を運びました。
またオケの京都フィロムジカ管弦楽団は京都で活躍するアマオケで、いつもは長岡京記念文化会館などで演奏しています。しかし今回は2年に1度の晴れ舞台として京都コンサートホールでの演奏となったのでした。
京都フィロムジカ管弦楽団はWebサイトを運営していますので、このオケに興味を持った方はぜひとも訪問して下さい。
ロビーに到着すると軽やかな音楽が鳴っていたので、人だかりの方へと進んでいくと、そこでプレコンサートを開いていました。
・アヴェマリア (ブルックナー作曲・ミヒャエル編曲)
・セレナーデ ハ短調 第1楽章 (モーツァルト作曲)
・ヴァイオリン協奏曲 第1番 第1楽章 (バッハ作曲・マリンバ独奏)
私が聴客の輪の中に入ったころはもう最後のバッハをやっていましたが(ちぃ、ブルックナーを聞き逃してしまった)、そのマリンバ独奏がとても小気味よく、非常に良くできた演奏でした。初めの2曲を聞けなかったのがとても残念です。
舞台上にはコーラス用の雛壇がしつらえてあり、コントラバスなどがその1.5mぐらいあろうかという高さの段に勢揃いして指揮者を迎えました。
登場した金子さんは優しそうな雰囲気を持ったお父さんて言う感じでした。
この曲は別宮さんの交響曲第3番「春」の第1楽章を独立させたもので、晴れやかで明るい曲ですが、独特の野太さがある雄大な曲です。
この曲は現在、交響曲第4番「夏 1945」と合わせて全楽章が収められたCD(fontec FOCD2510)が発売されていますので、興味ある人は大手ショップを探すか、取り寄せてもらいましょう。
演奏の方は冒頭の難しいホルンのソロがこけたため、金管楽器全体がピリピリとしてしまい、別宮さんらしい雄大さが現れてこなかったのが残念でした。
金子さんと言えば直筆譜と出版譜との違いをマニアックに調べ上げるのが得意ですが、それが今日のプログラムにもありまして、5番のアダージェットについて色々書いてありました。
それは主旋律とアダージェットという表記がマーラーの直筆譜とアルマの清書譜では違う、といった内容でしたが、非常に楽しいものでした。
さてそのマーラーですが、金管の死ぬ気の演奏が非常に良く、また木管のまとまったアンサンブルや弦(特に第1Vn。もっと言うならコンマス)のしっかりした弾きっぷりも大変良かったです。
更に驚いたことはアマチュアにしてはプレイヤー個々の音色がきれいだったことです。現役音大生が多かったのでしょうか? それは判りませんが、その音はアマチュアらしからぬレベルだったと思います。
しかしその分ミスると目立つのが玉に瑕で、また至難のアンサンブルは演奏を安全運転に走らす傾向がありました。
また指揮者の金子さんもこの大曲のアンサンブルをまとめるのに腐心してしまい、曲をドラマティックに動かすことができず、その結果平坦に曲が流れる退屈なものとなってしまったのも残念なことでした。
総じて、みんな妙に上手かっただけに残念な演奏会でした。
さて、次回は20世紀最後を飾る「第9」の演奏会達ですが、その第1弾として岩城さんと大阪フィルの演奏会に行って来ます。
年末に「第9」なんて絶対振らない、と言っていたのにどうしたのでしょう? なにはともあれ岩城さんは好きなので期待しています。