第1曲 眠りの森の美女のパヴァヌ
第2曲 おやゆび小僧
第3曲 陶器人形の皇后
第4曲 美女と野獣の対話
第5曲 妖精の園
冒頭からオケの方は結構きっちりと演奏をしていたのが好感を持った。また指揮者の方もオケの自発性に任せた指揮をしているように見え、リラックスした雰囲気の中進められた。
その中でも第5曲の「妖精の園」ではため息が出るような美しい弦の響きが聞け、このオケの弦セッションの好調さがよく伝わる演奏となった。
続いてはピアノをステージ上にセットしてのコンチェルトとなった。ピアノの天板が弾き振りしやすいように取り除かれていたため、ピアノの音を最良の条件で聞くことは出来なかったが、アンモルトンはこの曲の持つ天真爛漫な楽しさを表すように楽しく奔放にピアノを弾いていた。
ただその分ややベランベイ調になり、ラベルの持つもう一つの面、硬質で繊細な音楽が聞けなかったということがあった。
後半は硬質さ、繊細さではラベルと同様なシベリウスだが、その音楽は非常にゆるく、オケをドライブできているとはとても言えないものであった。好意的に言うならオケと指揮者がちぐはぐだったと表現できる。
コンマスの稲庭さんがいつものように椅子から飛び上がらんばかりの身振りでオケを引っ張って行こうとしたが、モヤッとした響き(ひょっとするとこれがアンモルトン氏の音かも知れないが)はシベリウスらしいサウンドを表現していたとはとても言い難かった。オケのメンバー個々は健闘していたと思えただけに残念だった。
終演時に数人のお客がステージ上で片づけをしていたコントラバス首席奏者の奥田さんの元に寄って使用しているコントラバスについて何やら質問をしてました。それに奥田さんは
「これは1660年製で、この時日本は江戸時代ですね」
「穴(スリット)の形が今のと違いますね」
と親切に答えていました。
この名器はその他にもちょっと下膨れのぽっちゃりとした焦げ茶色のボディが特徴的でした。
総じて、シベリウスY(はーと)のはずだったんだけど、の演奏会でした。
さて次は京都フィロムジカ管弦楽団のマーラーを聞きに京都へ行って来ました。
指揮は金子建志(ネコケン)さんです。この人の批評はとても好きですが、彼の指揮ぶりはいったいどんなのでしょうか? 非常に楽しみです。