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大阪フィルハーモニー交響楽団
第345回定期演奏会

日時
2001年2月9日(金)午後7:00開演
場所
フェスティバルホール
演奏
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮
朝比奈隆
曲目
ブルックナー…交響曲第8番 ハ短調(ハース版)
座席
Rサイド1階M列3番(A席)

はじめに

 関西ローカルの話題ですが、先日新聞に大阪市が大阪フィルに1億円の貸与をすると発表されました。CD売れまくりの大フィルが2億円の債務、と言うのが驚きですが、なにもこのオケに限った話ではなく、他にもオーケストラの吸収合併があるなど我が国のオーケストラ事情も世相に合わせて厳しい模様です。
 (けど、オーケストラってそんなもんだろ?)
 大フィルも純国産にこだわらず(100%そうかは知りませんが)、切るべきは所は切って水準の向上を目指さないとダメでしょう。

 開演5分前のアナウンスが流れる中、会場に着くとさっさと定期会員の更新を済ませて客席に滑り込みました。
 ホールにはいつにない熱気があり、今日の演奏に対する期待の高さがうかがい知れました。
 御大と大フィルによるブル8はなんと2年半ぶりになるそうです。しかも前回は「朝比奈隆のブルックナー」と称した朝日新聞創設100周年記念事業の一環でしたが、その内容がナニだったため、客席には「今度こそ」という期待もあったみたいです。
 ステージ上を見渡すとマイク類は見あたらず、録音はされていないようでした。

ブルックナー…交響曲第8番

 このコンビによるブルックナーの8番といえば、“空前絶後”と謳われた94年のサントリーホールの演奏がCDで残されている。そのため、どんな演奏をしても「あのCDに比べるとなあ」と言われるのが不憫に思わなくもない。それに、あれからもう6年が経って朝比奈隆も92才だ。あれと同じことをやれと言われても無理な相談だ。

 オケの方は気合い充分の演奏を繰り広げた。特に低弦の立派さはこのコンビならではだと思う。
 キズが無いことはなかったが、それでも普段の大フィルから見れば(なんか情けない書き方だ)かなりしっかりしたものだ。ホルンもちゃんとしていたし、ワグナーチューバなど大健闘に入ると思う。(終楽章コーダでのワグナーチューバソロのかっこよさは見事だった)

 音楽全般に関して言えば、ここ最近の朝比奈御大の傾向通り、やや速めのテンポでしなやかに進んでいくものだった。
 特に今日の演奏は全体のどこにも力んだ感じがなく、非常にオケが伸び伸びと演奏している様子を感じさせるものだった。(第3楽章ではアンサンブルが怪しくなって、コンマスが慌ててシメてたけど)
 朝比奈も冒頭からしっかりと指示を出し、押さえるところはきちんと押さえていた。体調は良いみたいだ。
 クライマックスではかなり盛り上がり、最後の3つの音では御大も指揮棒を高く振り上げての終焉となった。
 ただ、この曲のコーダで得られる奇跡を目の当たりにするような輝きはなかった。
 全体のグレードとすればかなりのものなのだが、感激するまでには至らない。

おわりに

 最後の大ユニゾンが鳴り響くと、「ブラボー」と複数の歓声が起こり、わっと拍手が起こりました。
 大奮闘の大フィルに対して、朝比奈の御大が弦のトップと力強く握手をし、ねぎらいの言葉を掛けます。
 答礼に現れたとき、御大はまずワグナーチューバの4人を立たせました。最初は控えめだったのですが、御大の「もっと、もっと」というゼスチャーに促されて、4人はワグナーチューバを高々と掲げました。
 続いて他の金管と打楽器そして木管と起立し、最後に弦が立って、客席の拍手に応えました。

 オケが解散すると拍手も止みかけて、今日はここまでかなと思いましたが、3割ほどのお客がステージ前まで詰めかけ拍手を続けました。
 すると御大もひとりでステージに現れて、その拍手に応えてくれました。
 感極まって何やら叫ぶひともいましたが、そこまでのものだったかなと思わなくもありませんでした。

 総じて、期待のレベルが高すぎた演奏会でした。

 さて、次回は火曜日に行われる小林研一郎と関西フィルによるマーラーの「さすらう若人の歌」と交響曲第1番です。コバケンのマーラーを関フィルがどうさばくのか(というより、ちゃんとできるのか)非常に楽しみにしています。


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