この1番を朝比奈は生涯で4回だけ振っており、そのうち3回が録音され全集に収録されています。しかし残り一回もベルリン交響楽団(1977.3.12)なので、結局国内で振った演奏はすべて残されていることになります。
1977.1.24 L | 大阪フィル | 大阪フィスティバルホール | ★★★ |
LP | ジャン・ジャン | JJ-1600/16 | 全集・限定盤 |
CD | ジャン・ジャン | JJ-008/019 | 全集・限定盤 |
CD | グリーンドア | JJGD-2001/17 | 全集・限定盤 |
演奏について
大変ハツラツとした演奏で、この曲の特徴でもある躍動感あるリズムを楽しく聞くことが出来る。途中、退屈さを感じさせる瞬間がないとは言えないもの、全体のフォルムはキュッと締まったものを持っており、終楽章での畳み込むような疾走感はなかなか魅力的なものとなっている。若々しさのある一本気な演奏と言える。 |
|||
録音について
フェスティバルホールでの録音のはずが、響きに豊かさがあって乾いた所を感じさせない。しかしその分、楽器の分離はやや鈍いと言えるが、音がフレッシュに録られていて生々しさがある。 |
1983.1.29 L | 日本フィル | 東京文化会館 | ★★★ |
LP | Victor | SJX9571 | |
CD | Victor | VICC-40190/9 | 全集 |
CD | Victor | VICC-60281/91 | 全集 |
演奏について
堂々としたスケールを持ち、響きは広々としている。その響きの充実さとは別に、最初こそやや音楽に乗り切らない感じを受けるが、スケルツォの後半ぐらいから演奏に熱気がこもり、終楽章の中間ではやや緩みがあるもの、終盤にかけては非常に白熱した音楽を展開し、特にコーダでの堂々とした曲の結び方はこちらを引き込むようなものを持っており、聞いた後大変満足のいく演奏となっている。 |
|||
録音について
しっとりとした印象があり、左右の広がりが良く、細かい音も良く拾えている。音を鮮度良く録れている過不足のない録音。 |
1994.5.15-17 | 大阪フィル | 大阪フィルハーモニー会館 | ★★★ |
CD | Pony Canyon | PCCL-00246 | |
CD | Pony Canyon | PCCL-00400 | 全集 |
CD | Pony Canyon | PCCL-00469 | HDCD |
演奏について
スタジオ録音としては最後のものとなった演奏。 基本的な解釈はジャンジャン盤からずっと変わらないが、この演奏が一番響きが緻密でスケールが大きく、音色に透明感と深みがある。全体に力みがなく、練られた響きと隙のない構成感で最後まで楽しく聞ける演奏となっている。 |
|||
録音について
HDCDの方は同全集のスタジオ録音に比べて、音の輪郭がぼやけ気味だ。それでも他レーベルのものと比べると普通のレベルはきちんと確保している。 一方、ノーマルの方は低音から高音までがしっかりと鳴っているのが捉えられ、音に力強さがある。また楽器の分離も良く、音に曇りがない。こちらの方がマスタリングとしては圧倒的に優れている。 |
《 総 評 》
演奏回数が少ないためか、17年の間にスタイルが変わった印象はありませんでした。なので、お薦めは一番新しいキャニオン盤となります。
当ページで使用した略称
・大阪フィル=大阪フィルハーモニー交響楽団
・日本フィル=日本フィルハーモニー交響楽団